会社を退職しようと考えている人の中には、会社を辞めたら『当面の間は失業保険で生活をしよう』と考える人も多いのではないでしょうか。
わたしは、会社を辞めたとき、『個人事業主として独立をしようか、他の企業に勤めながら副業をしようか』と悩んでいました。
退職前は、独立開業したり会社を立ち上げたりすると、失業保険はもらえないと思っていましたし、再就職手当という存在も知りませんでした。
サラリーマン時代は全員が雇用保険が給料から天引きされていたのに、独立開業したり起業した人が何もなければ不平等ですよね。
わたしが再就職手当を受け取ることができたのは、起業した友人が再就職手当を受け取ることができたと聞いたことが原因でした。
そして実際に、退職後独立開業しても、再就職手当の支給を受けることができました。
この記事では、会社を退職後、個人事業主として開業しても再就職手当の支給を受け取ることができた実体験をお話します。
雇用保険の失業手当の給付手続きに行った際、ハローワークからは、開業しても再就職手当は貰えるといった案内はありません。
情報を持っていないと貰えるものも貰えなくなってしまうので、もったいないですよね。
この記事で紹介するのは、あくまでも、わたし個人の実体験によるものです。
同じ状況でも再就職手当を必ず支給できると保証するものではありません
再就職手当とは
「失業保険」を知っている人の中でも、「再就職手当」って何?と思う方もいるのではないでしょうか。
会社を退職した際は、離職票などの必要種類を用意し、ハローワークで失業保険の給付申請をします。
そして、早期に再就職をした場合で一定の要件を満たすと、再就職手当を受け取ることができます。
再就職手当とは、休職や失業している状態から早期に就職するともらえる手当のことです。雇用保険の基本手当(一般的に失業保険といわれるもの)の給付日数が一定数余っている場合に支給されます。
再就職手当は、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であり、安定した職業に就いた場合で支給要件を満たしている場合に支給される
ハローワーク雇用保険の失業等給付
受給資格者のしおり
再就職手当の支給要件
再就職手当には支給要件があります。
支給要件は、企業に就職した場合と事業を開始した場合で変わってきます。
①待機が終わってから自営の準備を開始したこと
②給付制限がある場合、待機満了後1ヶ月を経過した後から自営の準備を開始したこと
③1年を超えて事業を安定的に継続して行うことができる、自立したものと認められること
④事業を開始した日前3年以内の就職により「再就職手当」「乗用就職支度金」の手当を受けたことがないこと
重要なことは、待機期間中に自営の準備をしていた場合、再就職手当は支給されないということです。
退職後すぐに開業しようと思っている方は、再就職手当の給付対象にはなりません。
失業保険の給付を受けるには、再就職する意思があることが必要となります。
ハローワークで失業保険の手続きをする際、『就職はせず、独立開業や起業する予定』と伝えることはNG
実際に失業保険の給付を受けた流れ
わたしの場合は、前に勤めていた会社が副業不可の会社だったので、副業を認めている会社に再就職し、副業で行政書士を始めるか、行政書士として開業するかが決まっていない状態で退職しました。
雇用保険の基本手当(失業保険)や再就職手を受給するには、退職後、離職票を持ってハローワークに行き、失業認定してもらう必要があります。
わたしが再就職手当を受け取ったおおまかな流れは以下のものとなります。
- ①退職後、会社から離職票が届く
- ②離職票を持って管轄のハローワークに行く。この日が雇用保険の失業等給付受給資格決定年月日となる
- ③待機期間7日間が経過
- ④ハローワークで初回講習に参加
- ⑤最初の失業認定日でハローワークに行く(就職希望で活動)
- ⑥給付制限の1ヶ月間を経過
- ⑦開業する意思をハローワークに伝えに行く
- ⑧税務署で開業届を提出
- ⑨再就職手当支給の申請書を提出
- ⑩再就職手当通知支給通知決定
- ⑪再就職手当が振り込まれる
再就職手当の申請時に提出が必要なもの
雇用保険の失業給付の手続きを行い、ハローワークに通い、待機期間と給付制限期間を経過した後、開業準備を行い、再就職手当の給付申請を行うのですが、その際提出が必要な書類があります。
雇用保険受給資格者証
再就職手当支給申請書
失業認定申告書
この3つの書類に加えて、個人事業主として開業し再就職手当の給付を受けるには、以下のようなものをも必要となります。
開業届
【業務委託締結の書類】【報酬を上げた領収書または請求書】【開業にかかった費用の領収書】のいづれか
個人事業主として開業した場合の再就職手当受給の要件として、「1年を超えて安定的に事業を継続し行うことができ、自立したものと認められること」とあります。
実際に事業を立ち上げたことを証明するために、【業務委託締結の書類】【報酬を上げた領収書または請求書】【開業にかかった費用の領収書】のいづれかを提出が必要です。
どのくらいの金額の売り上げや、契約書・領収書であれば継続的に安定し自立している事業と認められるかはわかりません。
しかし、わたしは申請時には売り上げはなく、開業準備の領収書しか出せませんでしたが、再就職手当を受給することができました。
実際に提出したもの
わたしは、再就職手当の給付申請時には、個人事業主としてまだ売上はなかったので、領収書・業務委託書・請求書などは提出できる状態ではなかったのです。
そこで、提出した書類は、開業準備にかかった費用の領収書です。
具体的には以下のものを提出しました。
台車購入の領収書
バックモニター付きドライブレコーダー購入の領収書
軽貨物の事業用ナンバー取得費用の領収書
わたしの場合は、「軽貨物運送事業」を始めるためにかかった費用の領収書を提出しました。
わたしのように、再就職手当申請時に売上があがっていない人もいるかと思います。
「開業にかかった費用の領収書」の金額がいくらであればOKか?といった審査基準は明らかではありません。
しかし、金額は合計しても8万円くらいのものなので、再就職手当を貰うために、大きな初期投資が必要ということはなさそうです。
高額でなくても、その事業を始めるための費用の領収書であれば良いと思われる
再就職手当を貰えるまでにかかった期間
わたしの場合、再就職手当支給の申請をしてから約1ヶ月半程度で指定の銀行に振り込まれました。
最初にハローワークに行った日から考えると、4ヶ月程度かかりました。
最初にハローワークに行ってから、再就職手当の申請手続きまででいうと、約2ヶ月弱になります。この期間は無収入の期間になるので気をつけなければなりません。
まとめ
退職後、再就職はせず個人事業主として開業しても再就職手当を受給できた経験について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
失業保険のことは知っていましたが、再就職手当についてはあまり知りませんでした。
友人が、会社を退職後、再就職手当を貰ったという話を聞き、自分も受給できるのか確認しました。
その友人のことを聞いていなければ、再就職手当を受給できなかったかもしれません。
わたしの場合、退職後は、『副業可能な企業に再就職する』と『個人事業主で開業する』の2つで悩んでいました。
このことは、ハローワークの担当者にも伝えていました。
そして、就職活動を行った上で、副業可能な理想の企業が見つからなかったため、開業するという結論になりました。
最後に、『退職後は開業するつもり』『給付制限を過ぎるよりも前に開業準備している』といった状態で、嘘をついて再就職手当を申請・受給すれば不正受給となりますので、絶対にやってはダメです。
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