『法定相続って何?』『遺留分って聞いたことがあるけどよくわからない!!』
『法律用語は難しいし、いまいち理解ができない』と言う方もいらっしゃるかも知れません。
行政書士試験においても民法の相続に関する事項は、過去にも出題されていますし、平成30年の改正もありますので、押さえておきい論点です。
わたしは行政書士試験の受験生の時には、過去問やテキストだけでは遺留分があまり理解できませんた。
この記事では、法定相続分と遺留分の基本的な知識と、行政書士試験において押さえておきたいポイントを解説します。
法定相続分や遺留分の違いを知りたい方や、資格試験で理解されたい方のご参考になれば嬉しいです。
法定相続分
相続分とは、共同相続において、各相続人が相続すべき権利義務の割合、つまり相続財産全体に対する各相続人の持分をいいます。
被相続人は、遺言によって相続分を指定することができますが、遺言による相続分や遺産分割の方法の指定がない場合は、民法による相続分の定め「法定相続分」に従って遺産分割が行われます。これを法定相続といいます。
法定相続人には、「配偶者相続人」と「血縁相続人」があります。
※ここでいう配偶者は法律上の婚姻関係にある配偶者であり、内縁の配偶者は含まれません。
相続人の順位
どのような家族構成であったとしても、被相続人の配偶者は常に相続人になれます。
血族相続人には第1順位から第3順位までがあり、第1順位の相続人が居れば第2・第3順位の相続人は相続できません。
- 第1順位 被相続人の直系卑属
(嫡出子、非嫡出子、養子、胎児、代襲相続の孫やひ孫などが該当します) - 第2順位 被相続人の直系尊属
(父母や祖父母など) - 第3順位 被相続人の兄弟姉妹
(被相続人の兄弟姉妹またはその代襲者(被相続人からみれば甥や姪))
法定相続分の割合は相続人の構成により異なります。
法定相続人が配偶者と子供(直系卑属)の場合は、それぞれが遺産の2分の1ずつを相続します。
配偶者は常に相続人となります。
子供が二人以上居る場合は、2分の1を子供の人数で割ります。
例えば子供が3人居れば、子供一人当たりの相続分は6分の1になります。
図②は、被相続人に第1順位の相続人(子や孫など)が居なかった場合、配偶者と第2順位の父母や祖父母が相続人となるパターンの相続割合です。
この場合は、配偶者が相続財産の3分の2を、母親が3分の1を相続することになります。
図③は、被相続人に子供も親もおらず、配偶者と被相続人の兄弟姉妹が居た場合の相続割合です。
配偶者は相続財産の4分3を、弟が4分の1を相続することになります。
法定相続の場合、被相続人に配偶者が居なかった場合は、血族相続人の優先順位の高い相続人のみが相続することとなります。先順位の相続人が居れば後順位の者に相続権はありません。
第1順位の息子(被相続人の直系卑属)が居ているので、第2順位の母親(被相続人の直系尊属)に相続権はありません。
遺留分とは
遺留分とは、法で保障された、遺族が受け取れる最低限度の相続分のことです。
遺産相続では、法定相続よりも遺言による相続が優先されるいう大原則があります。
例えば、特定の相続人や第三者にすべての財産を譲るという遺言がされた場合、遺言に従うと、本来は遺産を受け取れる権利があったはずの人が全く遺産を受け取れない、ということになってしまいます。
民法では、遺族の「法定相続人」としての権利や利益を守るため、遺族が相続できる最低限度の相続分を「遺留分」という形で規定しています。
遺留分とは、簡単に言うと、遺産が貰えなかった一定範囲の相続人(配偶者・直系卑属・直系専属)に一定範囲の財産を貰える権利を保障するものですよ。
例えば、被相続人が財産を家族ではなく、第三者にすべて譲るという趣旨の遺言を残した場合
図⑤のように、被相続人が『お世話になった看護師さんに全ての財産を遺贈する』という遺言を残したとします。
遺言は法定相続よりも優先されるので、この場合、「妻」と「娘」はまったく遺産を受け取れない、ということになってしまいます。
そこで、法定相続人の権利・利益を守るため遺留分という規定があるのです。
遺留分権利者
遺留分権利者とは、兄弟姉妹以外の法定相続人です。
つまり、「配偶者」「子(その代襲者・再代襲者)」「直系尊属(親や祖父母)」が遺留分を有します。
胎児も生きて生まれれば相続権がありますので、子としての遺留分を有することになります。
遺留分権利者は、被相続人による他の者への遺贈・贈与などによって、遺留分に満たない取り分しか得られない場合、遺留分を侵害する遺贈・贈与の受遺者・受贈者に対して、遺留分侵害請求をすることによって遺留分を確保することができます。
図⑥の例で見ると、相続人である「妻」「娘」は遺留分を満たす取り分を得られないため、受遺者の「Aさん」に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。
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