「退職金」にも税金がかかる!?退職金受給時の注意事項を解説

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会社を定年退職した後の生活費の為や、転職や独立のため退職する場合、退職金を充てにしている方も少なからずいらっしゃるかと思います。

会社員をしていると、退職金は貰えるのか?貰えるとしたらどのくらいかな?退職金が貰えるのは大企業だけなんじゃないの?と考えることはあっても、「退職金に税金がかかる」かどうかまでは考えないのではないでしょうか。

厚生労働省の調査によると、退職金制度がある会社は80%を超えていますので、退職金をもらう機会がある方のほうが多いことになります。

わたしの会社も退職金は少しは出そうですが、退職金にも税金がかかるということは、FP3級を取得するまでは知りませんでした。
しかも、知識がないと大変な損をしてしまうことも・・・

退職金は度々もらう機会があるものではありませんので、注意すべきことも分からないかもしれません。
この記事では、退職金をもらった際に損をしないための注意点を紹介します。

かるがも
かるがも

退職金をもらう(退職所得)には、かかる税金に対する控除があります。
しかし、きちんと手続きしないと多額の税金を払わなければならなくなるので気をつけましょう。

退職所得とは

退職によって勤務先から受け取る退職金を「退職所得」といいます。
所得なので、「給与所得」や「配当所得」と同様に税金がかかります。

「退職所得」は他の所得とは一緒に税金の計算をしないで分離課税されることになります。
そして、「退職所得」は他の所得と比べて課税方式は優遇されています。

退職金にかかる税金の計算方法

一つ目の優遇措置は、退職金にかかる税金は、退職金から退職所得控除を差し引くことができるということです。
二つ目の優遇措置は「2分の1課税」と呼ばれるもので、退職所得控除を引いた金額の2分の1にしか課税されません。

控除額は、勤続年数によって変わり、具体的には、勤続年数が20年以下の場合と20年を超える場合によって変わります。

退職所得の計算式

退職所得=(退職金の額ー退職所得控除額)✖️1/2

退職所得控除額の式は以下です。

退職所得控除額の計算式

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円✖️勤続年数(最低80万円)
20年を超える800万円+70万円✖️(勤続年数ー20年)
勤続年数で1年未満の端数が生じる場合は1年に切り上げ

例えば、勤続年数が10年で退職金が200万円だとすると、
退職所得控除は40万円✖️10年で400万円あるので、退職所得に対し課税されることはありません。

次に、例えば勤続年数が28年2ヶ月で退職金が2000万円ある場合を計算してみます。
1年未満は勤続年数切り上げなので、勤続年数は29年で計算することになります。

この場合の「退職所得控除」は
800万円+70万円✖️(29年ー20年)となり、1430万円となります。

この数字を退職所得の計算式に当てはめます。
退職所得=(2000万円ー1430万円)✖️1/2となり、285万円が課税対象の所得となります。

退職所得に関して注意すべきこと

退職金に関する税金の優遇措置は、退職者が会社に対して、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していることが前提となります。

この申告書を提出していないと、「退職所得控除額」や「2分の1課税」は適用されなくなってしまいます。

優遇措置が適用されないと、退職金額の20.42%の所得税が源泉徴収されてしまうので、大きな損をすることになってしまいます。

退職金をもらう際は、必ず「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出するようにしましょう。

まとめ

退職金をもらうことが一生のうちに何度もあるという方は少ないかと思います。

「退職金がもらえるのか」や「退職金がいくらあるのか」を気にする方は多くても、「退職金に税金がかかるのかどうか」を気にする方は多くないと思います。

退職のこととなると会社にも確認しにくいですし、事前に知っておかないと損をすることもありますので、きっちりと確認して損をしないようにしたいものです。

この記事がわたしと同じように、退職を考えている方の何かしらの参考になれば嬉しいです。

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